本日これまでのドル円は日銀による早期の政策転換観測が後退したことを背景に円売りが先行したが、米長期金利の低下も重しに142円後半で伸び悩んだ。
日銀が本日公表した18-19日に開いた金融政策決定会合の主な意見では、マイナス金利政策の解除に関して、「金融正常化のタイミングは近づいている」との主張もあったが、「来春の賃金交渉の動向を見てから判断しても遅くない」「慌てて政策変更する必要はない」との見解も出るなど、政策修正の時期を巡り意見が交錯していることが明らかになった。植田日銀総裁も25日の講演で政策変更に来春闘の賃上げが重要と強調している。
一方で、日銀の1-3月期国債買入オペ方針を受けて一時的に円買いが見られた。日銀は3年超5年以下、5年超10年以下の買い入れ額のレンジ下限を引き下げ、10年超25年以下、25年超の月間の買い入れ回数を減らし、今後の金融調節の柔軟性を高めたことになる。
日銀の金融政策変更時期をめぐる思惑も交錯し、円相場に方向感が出にくい。前日まで休場だった英国やドイツ、フランスといった欧州市場も本日から戻ったが、年末相場で流動性は低く手がかりも乏しい。本日予定されている米経済指標は12月リッチモンド連銀製造業指数が発表される程度で、ドル円は米株や米長期金利の動向を眺めながらの動きが予想されるが、依然として米連邦準備制度理事会(FRB)の早期利下げ観測を背景にドルの上値は重く、ドル円は142円台を中心に伸び悩む展開が見込まれる。本日のスポット応当日が年末となっていることもあり、ロンドンフィキシングに絡んだ動きに注意したい。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは本日これまでの高値142.85円や日足一目均衡表・転換線143.20円が上値めど。
・想定レンジ下限
ドル円の下値めどは26日の安値142.10円や22日安値141.87円が下値めど。
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