25日からの週は、ドル安が進行した。米欧市場のクリスマス休暇と週末の年末年初に挟まれた週とあって、取引は閑散となった。主要な経済統計については、年明けの週の米雇用統計待ちに。金融当局者からの発言もほとんど見られなかった。そのなかで、前週からのドル安と円高の流れが淡々と継続した。週後半にはロンドンフィキシングや米債入札結果などをきっかけにドルに買戻しが入ったが、これまでのドル安の流れには特段に変化はみられていない。市場での米国の早期利下げ開始観測は根強く続いていた。日銀に関しては、直近会合の主な意見が公表されたが日銀内部での見方は分かれており、決め手には欠けた。そのなかで、なかなか時期は定まらないものの来年のマイナス金利解除観測が市場では既定路線化しているようだ。円安の反応は長続きせず。また、ECBでタカ派として知られるホルツマン・オーストリア中銀総裁が、来年の利下げ開始を保証することはないと発言したことで、対ポンドなどでユーロが買われる動きもみられた。全般に新規材料に欠けるなかで週後半には調整が入ったものの、従来からの流れが継続する形で年末を迎えている。
(25日)
東京市場は、取引参加者が少なく閑散とした取引。動きがある程度見られるものの、取引量自体はかなり少ない。この後、クリスマスのために欧米市場が基本的に休場となること、アジア市場も日本と中国を除いて基本休場となっており、取引参加者が極端に少ないことなどが背景にある。ドル円は142.56近辺にまで小幅買われたあとは、142.14近辺まで下げた。その後の買い戻しは142.40前後まで。ユーロドルは1.1015付近から一時1.0994近辺まで下落。1.10台割れのストップ注文をつけていた。ユーロ円は157円付近から一時156.30近辺まで売られた。
ロンドン・NY市場はクリスマスのため休場。
(26日)
東京市場は、休暇ムードが継続し落ち着いた取引。東京・アジア市場は、豪州、NZ、香港市場が休場で取引参加者が少ないこと、この後の欧州市場が休場となることなどから、目立った動意を見せず。ドル円はやや上値重くも142.30台から142.10台までの値動きにとどまった。ユーロドルは1.10台前半、ユーロ円は156円台後半で、狭いレンジの推移。ドル/人民元は若干ドル高・元安。中国株の軟調地合いや、中国人民銀行の流動性供給で翌日物レポレートが低下したことなどが元安につながった。
ロンドン市場は、ボクシングデーのため休場。
NY市場は、小幅の値動き。ドル円は欧州勢がクリスマス休暇中で休みの中、142円台半ばでの小動きに終始した。ユーロドルは堅調な動きを続け、1.10台半ばに上昇。ポンドドルはロンドン勢がクリスマス休暇で休みの中、動意薄の展開となったが、ドルが軟調に推移していることで1.27台で推移した。しかし、対ユーロでは下落が続くなど、ポンドは12月中旬以降軟調な動きが続いている。来年の主要国の利下げ開始観測には変化はみられず。そのなかで、日銀についてはマイナス金利解除観測が継続している。米欧の実質金利は、やや欧州のほうが景気抑制度が低いとの見方があった。英国については中銀はタカ派姿勢を保持している一方、短期金融市場では来年中に5回以上の利下げを行うことを織り込んでいる。
(27日)
東京市場は、朝の日銀主な意見で一時円売りの動き。18日・19日の日銀金融政策決定会合の主な意見が今朝公表された。その中で、出口戦略に向けたタイミングが近づいているとの意見があった一方で、現在、慌てて利上げしないと、ビハインド・ ザ・カーブになってしまう状況にはなく、少なくとも来春の賃金交渉の動向を見てから判断しても遅くはないといった意見があり、1月の会合でのマイナス金利解除期待が後退する形で円売りとなった。この内容を受けて短期金利市場での1月会合でのマイナス金利解除見通しは27.5%から一時2.3%まで低下していた。ドル円は142.30台から142.85近辺まで上昇した。ユーロ円は157円台で振幅も、ドル円とともに円売りが優勢。ユーロドルは1.10台前半での小動き。
ロンドン市場は、ややドル安・ポンド安の動き。ただ、ロンドン勢の取引が再開も、依然としてクリスマス気分は抜けず小動き。この日は主要経済統計発表はなく、手掛かり難。ドル円は142円台後半から半ばでの揉み合い。東京午前には日銀主な意見で緩和政策継続が示され円安となったが、持続性はみられず。ロンドン朝方に1-3月の日銀国債買い入れ計画が発表され、中長期の下限引き下げ、超長期回数減が発表されたことに円買い反応も、続かず。欧州通貨ではポンド売りが先行。対ユーロでのポンド売りが主導している。ポンドドルは1.27台前半から一時1.27台割れまで下落。その後は1.27台前半で下げ一服。ユーロドルは東京昼過ぎの1.1029近辺を安値に、ロンドン時間には1.1059近辺まで買われている。ドル指数はクリスマス前から一段と低下したが、小幅にとどまっている。
NY市場では、ドル売りが強まった。FRBの金融政策に敏感な米2年債利回りが4.25%を割り込んでおり、5月以来の低水準となった。米5年債入札が好調な入札となり、米国債市場では利回りが下げ幅を広げた。来年のFRBの早期利下げ期待が強いほか、景気後退への懸念も。ドル円は142円台半ばから141円台半ばまで下落した。ユーロドルは上値追いが続いており、1.10台後半から1.11台に上昇した。今年7月以来の高水準に。ポンドドルも買い優勢となり、1.27台半ばから買われ一時1.28台を付ける場面も見られた。ただ、1.28付近でば売買が交錯して揉み合った。先日の英中銀金融政策委員会(MPC)で英中銀はタカ派姿勢を強調していたが、英消費者物価指数(CPI)やGDPなど足元の指標が弱い内容が相次いだ。ポンドにはユーロ相場ほどの力強さはみられていない。
(28日)
東京市場では、前日NY市場からのドル売りが継続。ドル円は東京午前に141.17近辺まで下落。その後は仲値関連の外貨買い・円売りで141.60台まで上昇。しかし、午後には再び141.10付近へと下落した。米国の早期利下げ開始期待が根強く、ドル売りにつながっている。3月の利下げ開始を織り込む勢いを見せており、日米金利差縮小見込みからのドル売りとなっている。ユーロドルは1.11台前半での小動き。ユーロ円はドル円とともに157円台半ばから156円台後半で上下動。
ロンドン市場は、ドル売りが優勢。ドル円は141円台を明確に下回ると、安値を140.65近辺に更新。7月28日以来のドル安・円高水準となった。その後の戻りは限定的で、141円台では再び売りに押し戻されている。この時間帯は米債利回りの低下は一服しているが、引き続き日米金利差縮小観測がドル円相場を圧迫しているようだ。ユーロドルは一時1.1139近辺まで買われ、7月27日以来のユーロ高・ドル安水準となった。ホルツマン・オーストリア中銀総裁が「現時点で利下げについて考えることは時期尚早、2024年の利下げを保証することはない」と発言したあと、しばらくして買いが強まっていた。ポンドドルは序盤に1.2827近辺まで高値を伸ばす場面があったが、対円や対ユーロでの売り圧力に上値を抑えられ1.28挟みの水準に反落している。クロス円は総じて上値重く推移しており、ユーロ円は156円台後半から半ばでの推移。ポンド円は180円台後半から一時180円台割れまで下押しされている。
NY市場では、ドルが買い戻された。ドル円はロンドンフィキシング前までは売りが優勢で、140.25近辺まで一時下落。その後は急速に買い戻されて141円台を一気に回復した。本日の約定の受け渡しは1月4日になり、実質的に来年の商いとなる。薄商いの中で、フィキシングに絡んだ実需の動きが激しく上下動させた可能性もありそうだ。ユーロドルはロンドン市場で1.1140付近まで上昇したあとは、NY市場では上値を抑えられた。フィキシング前後に激しく振幅したあと1.1060付近まで反落した。ポンドドルは一本調子の下げとなり、1.27台前半まで下落した。ただ、対ユーロでのポンド売りは一服している。ブルームバーグの調査によると、エコノミストは24年の英経済はリセッション(景気後退)を回避し、下期には景気が加速するとの見方が示されていた。
(29日)
東京市場は、年末年始を前に様子見ムード。ドル円は141円台での推移。午前中は141.40台から141.67近辺まで上昇した。昼にかけては上昇も一服、141円台前半に押し戻されての揉み合いとなった。ユーロドルは年末相場らしく1.10台後半で動意無く揉み合っている。ユーロ円は午前に156.93近辺まで買われたあとは、156円台前半へと反落、上に往って来いに。やや動きが出たのが中国人民元。中国人民銀行が対ドル基準値をドル安方向に寄せたことを受けてドル安・元高が進行。ドル人民元、ドルオフショア人民元ともに7.10を割り込むと、売りが強まる場面が見られた。ドル人民元は7.0880を付け、6月2日以来のドル安・元高となった。
ロンドン市場は、ドル買いが優勢。前日の海外市場から引き続き米債利回りが上昇しており、為替市場でのドル買戻しを誘っている。ドル円はロンドン朝方にかけて141.14近辺まで下押しされたが、その後は米10年債利回りが3.83%付近から3.89%付近に上昇する動きに141.90近辺まで高値を伸ばした。ユーロドルは1.10台後半に上昇したあとは、一時1.1044近辺まで下落。足元では1.1060台に下げ渋りと方向性に欠ける動き。ポンドドルも1.2770付近に高値を伸ばすも、1.2701近辺まで一時下落。足元では1.2730付近に下げ渋り。ドル指数は前日に7月27日以来のドル安水準をつけたあとは、反発している。週末、年末を控えて調整的な値動きとなっている。ただ、ドル安の流れ自体には大きな変化はみられていない。クロス円は、まちまち。ユーロ円は156円台、ポンド円は180円台前半での振幅で、概ね前日比プラス圏で推移している。ドル安に調整が入っていることで金相場が反落、豪ドルは売りに押されている。一方、原油相場は安定した推移で、カナダドルは対ドルでは軟調も、対円では揉み合いとなっている。きょうはこのあとのNY市場でシカゴPMIが発表される程度で、手掛かり難の年末相場となっている。ドル円は141円台後半での取引。141.40台の前日終値水準を挟んだ上下動となっている。ロンドン朝方につけた141.14近辺を安値に、その後の141.91近辺を高値に振幅している。米債利回りが反発しており、ややドル買い圧力が優勢になっている。
NY市場は前日からのドル買い戻しが続き、ドル円は一時141円台後半まで買い戻される場面も見られた。しかし、本日の米株式市場が下げに転じたことや米国債利回りも上げを縮小する中で、リスク回避の雰囲気も広がっている。ドル円も次第に戻り売りが強まり、一時140円台に再び下落した。
みんかぶ(FX)