2日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、能登半島地震を受けて、日銀が早期にマイナス金利を解除することは困難になったとの見方や米長期金利の上昇に伴う円売り・ドル買いで142.21円まで上昇した。ユーロドルは米長期金利の上昇や米国株相場の下落を背景にしたリスク・オフのユーロ売り・ドル買いで1.0939ドルまで下落した。ユーロ円も米国株が軟調に推移したことによるリスク回避の円買い・ユーロ売りで155.08円まで下落した。
本日のアジア外国為替市場のドル円は、東京市場が休場で閑散取引の中、令和6年能登半島地震を受けて日銀による早期のマイナス金利解除が困難になったのではないかとの見立てから底堅い展開が予想される。
昨日2日のシドニー市場では、1日の令和6年能登半島地震を受けて、140.82円まで円が買われた。しかしながら、日銀の早期マイナス金利の解除が困難になったのではないかとの思惑から、ニューヨーク市場では142.21円まで戻している。
過去の2つの大震災の後は、日本の有事の円買いが起こったが、その背景として、日本が世界最大の債権国であることや相対的に低金利国であること、などが指摘されている。
日本の投資家が海外資産を売却して日本国内に資金を還流させることは、3月期末決算や9月中間期末決算の時にも確認され、「レパトリエーション(repatriation)」と呼ばれて、円高要因となる。日本の保険会社は、契約者から受け取った保険料の一部を海外の株式や債券で運用しているが、大震災が起きた場合、保険会社は契約者に多額の保険金を支払う必要があり、保険会社がこれらの外国資産を売却して円に換えるのではないか、という見方が強まる。
また、日本は恒常的に低金利国であることで、米系ヘッジファンド勢は、低金利の円を調達して、高金利通貨で運用する「円・キャリートレード」という投資手法を駆使している。日本が大震災に襲われた場合は、「リスクオフ(リスク回避)」として、「円・キャリートレード」を手仕舞って、調達資金である円を返済する「円買い」の為替取引が活発化する。
1995年1月17日に勃発した阪神淡路大震災の後、ドル円は4月19日に79.75円の1973年変動相場制導入後の円高値を付けた。
2011年3月11日に勃発した東日本大震災の後、ドル円は10月31日に75.32円の変動相場制導入後の円高値を付けた。
しかし、今回は、令和6年能登半島地震を受けて、生産活動の落ち込みや政府による復旧対策での補正予算編成などで、1月22-23日の日銀金融政策決定会合での早期マイナス金利解除は困難となり、4月時点でも金融政策正常化のハードルが高くなったとの見方が強まりつつある。
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