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日銀の政策変更への期待が下火になった以上、目先は円を買う理由が見つからない。ただし、米ドル安はいずれ再開、円は間接的に上昇していく流れを想定

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2024-01

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2024-01-07
市場予測
日銀の政策変更への期待が下火になった以上、目先は円を買う理由が見つからない。ただし、米ドル安はいずれ再開、円は間接的に上昇していく流れを想定

日経平均 1時間足 (出所:TradingView)

世界の通貨 VS 円 日足 (出所:ザイFX!)

米ドル/円 日足 (出所:TradingView)

米ドル/円 日足 (出所:TradingView)

米ドル/円 週足 (出所:TradingView)

天災や事故が続いた2024年の年明けだが、リスクオフの状況にはなっていない
 新年あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。

 2024年は年明けから天災や事故が続き、相場もそれなりに波乱していましたが、執筆中の現時点の市況で言えば、大きなリスクオフの状況にはなっていないと思います。

 もっとも、能登半島地震が発生してから、円高警戒といった声が大きかったものの、実際は、むしろ円安の進行が確認されており、一部の市場関係者の心配は杞憂となったようです。

 米株市場の調整が鮮明になっている中、日本株は底堅い推移をしています。昨日(1月4日)の大発会、ザラ場において日経平均が一時700円安の局面があったものの、大引けではマイナス176円程度の下落となりました。

 当コラム執筆中の現時点では、3万3523円まで上昇しており、年初来の下落幅を、ほぼ取り戻しています。

日銀政策の早期修正期待が剥落し、2023年11月からの米ドルの急落は、目先一服か
 肝心の円ですが、リスクオフではない相場環境の中、主要通貨のなかでの最弱ぶりを示しているように見えます。

 米ドル/円は145円の節目に迫り、ユーロ/円は158円台後半、英ポンド/円は184円の節目寸前まで上昇しています。

 米長期金利の上昇を米ドル反発の背景として説明し、あくまで米ドル上昇であって円売りではない、といった声も多いようですが、米10年物国債利回りは、せいぜい4%程度しか回復していない現況から考えると、説明しきれていないのではないかと思います。

 地震があったから、日銀は早期に政策修正できないといった思惑が広がり、円が売られやすくなった側面はやはり否定できないでしょう。米ドル/円の145円の大台打診があっても、米ドル高・円安のトレンドが再開されたとは言えませんが、日銀政策の早期修正という期待の剥落で、昨年(2023年)11月高値からの米ドルの急落が目先一服した、という認識は間違いではないと思います。

 となると、主要クロス円(米ドル以外の通貨と円との通貨ペア)の堅調や、外貨高・円安の基調への復帰は当然の成り行きだと思われます。

 なにしろ、日銀政策修正に関する性急な期待が下火になっている以上、円を買う理由は見つかりません。米ドル全体の切り返しの中、米ドルに対する外貨の反落が緩やかである一方、米ドル/円の切り返しは大きくなりがちだから、主要クロス円の上値志向も高まりやすいと見ています。

2024年の円は、米ドル安の一環として間接的に上昇していくだろう
 しかし、クロス円における外貨高・円安の流れがここから順調に進み、一気に昨年高値を更新していくとも思っていません。

 何しろ、米ドル/円におけるメイントレンドはあくまで米ドル安であって、目先一服しているだけの話なので、いずれ再開されると思います。

 円は主体性を発揮する形での上昇はなさそうですが、米ドル安の一環として間接的に上昇していくのが今年(2024年)の基調であり、その点については変わっていないことを、再度確認しておきたいです。

 筆者は、昨年(2023年)後半にて米ドル高の行きすぎを繰り返し指摘し、一時巷で流行った155円とか160円とかの米ドル高ターゲットに否定的な見方を示していました。

 その後、状況が一変し、米ドルが急落するにつれ、巷では、今度は過激な円高ターゲットが提示されていました。が、それもいただけないと言っていました。

 昨年の年末最後の寄稿で、筆者は「2024年は135円程度の米ドル安・円高を想定し、また、変動の許容範囲として132円程度の円高あり」と書きました。寄稿時のレートは141円だったので、132~135円程度のターゲットは保守すぎるのではないか、といった指摘をいただきました。

【※関連記事はこちら!】
⇒【2024年のFX予想】米ドル安の一段の加速は必然! 日銀の政策に過大な期待は禁物、米ドル/円の続落は間違いないが、想定を超えても下値は132円程度か(2023年12月21日、陳満咲杜)

 しかし、現時点の考えとして、見方は変わっていません。

 そもそも円高のターゲットが「足りない」と指摘する方々の多くは、つい昨年11月まで円安のターゲットが「足りない」(筆者はずっと152円を超えないと主張していたので)と騒いでいました。換言すれば、彼らの多くは一本調子な市況しか考えおらず、さらに日銀政策の急変を期待していた節が大きかったようです。

 いずれにせよ、為替市場は単純ではなく、巷の思惑のとおりに動かないことは確かです。この意味合いにおいて、年間の変動範囲を事前に想定するのは至難の業であり、場合によっては大きく外れる可能性があります。

 しかし、やはり基本的なロジックを押さえた上で推測していかないといけません。感覚やセンチメントに流されると、憶測になりかねないので、気を付けたいと思います。

米ドル/円が127円台をつけた2022年10月後半からの急落は、再演されにくいだろう
 昨年(2023年)年初の米ドル/円の安値は、127円台でした。そして、そこから円安が大きく進行していきました。そればかりを見ていたら、確かに米ドル安への反転が一気に展開され、127円台をたちまち割り込むだろう、といった感覚に主導されやすいかと思います。

 さらに、昨年は11月高値の151.95円から、一気に年末の140.25円まで反落しました。このような米ドルの急落が続くなら、同じように、一気に127円台を割り込むのも時間の問題だとも思えます。

 しかし、根本的な考え方として大局観が必要です。

 昨年年初の安値は、ほかならぬ、2022年10月高値151.96円までの米ドル高の行きすぎがあったからこそです。また、政府・日銀の介入があった上に、続く「逆CPIショック」があったから、127円台への急落がもたらされたわけです。

 昨年11月の高値が、再度2022年高値と並んだのも、そもそも127円台への急落自体が行きすぎであったから、と言えます。

 しかも、昨年11月のトップアウトは政府・日銀の介入ではなく、相場の自然形成であったため、状況が大きく違います。

 ゆえに、2022年10月後半からの急落は、今年(2024年)前半において再演されにくいと思います。

 市況はいかに。

 末筆ながら、地震や事故で亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたします。そして難がすでに去り、皆さんにとって幸多い年になるように願っています。

 13:30執筆

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