5日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、12月米非農業部門雇用者数が前月比21.6万人増、失業率が3.7%だったことで145.97円まで上昇後、12月米ISM非製造業景況指数が50.6だったことで143.81円まで反落した。ユーロドルは米12月雇用統計を受けて1.0877ドルまで下落後、米12月ISM非製造業景況指数を受けて、1.0998ドルまで上昇した。
本日のアジア外国為替市場のドル円は、東京市場が休場で閑散取引の中、米10年債利回りが4.0%台で推移していることで底堅い展開が予想される。
先週末5日のドル円は、米12月雇用統計が労働市場の堅調さを示す内容だったことで、145.97円まで上昇後、12月米ISM非製造業景況指数が予想を下回る50.6だったことで143.81円まで反落し、144.63円で引け、相場の気迷いを現す「寄引同事線」となった。
米12月の非農業部門雇用者数が前月比+21.6万人、失業率が3.7%だったことで、昨年12月のFOMC議事要旨での「景気抑制的な政策スタンスを当面維持することが適切との見解」というタカ派的な見方が優勢となり、ドル買い要因となっている。
日銀によるマイナス金利解除は、令和6年能登半島地震を受けて、4月の日銀金融政策決定会合辺りまで先送りされた可能性が高まっていることも、円売り要因となっている。
ドル円の上値を抑える要因としては、米12月の雇用統計が、失業期間が長期化し、労働参加率は低下し、経済的理由でパートタイムの仕事に就いている人が増え、労働時間は減少していたことを示していたことが挙げられる。
米12月の事業所調査の非農業部門雇用者数は、前月比+21.6万人増加していたものの、10月と11月が合計7.1万人下方修正されており、NFPが労働市場を過大評価している可能性が再び浮上している。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙は、昨年、起業・廃業モデルなどを理由に「NFPは労働市場を過大評価している可能性」を取り上げていた。
家計調査の雇用者数は2020年4月以来の大きさとなる68.3万人減少していた。
失業率が3.7%に低下していたのは、労働参加率が0.3ポイント低下の62.5%と、約3年ぶりの大幅低下幅となったことが背景にある。
米12月ISM非製造業景況指数が50.6と分岐点の50割れが迫っただけでなく、雇用指数が43.3と2020年7月以来の水準に急低下していることも、懸念材料となっている。
さらに、労働市場全体で支払われた賃金総額(平均時給x平均労働時間x全労働者数)は、3.5%の上昇に留まり、11月の9.5%から減速していた。すなわち、労働の単価が上昇したため、企業は長時間労働者を雇えなくなっており、労働者に支払われる金額の伸びは減速していることになり、米国経済の減速を暗示していることになる。
トレーダーズ・ウェブ