本日のNY時間は、今年これまでに発表された経済指標の中では雇用統計よりも注目度が増している、12月の米消費者物価指数(CPI)の結果により上下することになるだろう。
12月のCPIヘッドラインの市場予想は前年比で+3.2%、前月比で+0.2%となり、いずれも11月(+3.1%と+0.1%)から上昇するとの予想。一方で、米連邦準備理事会(FRB)がより注視するとされている、変動幅の大きいエネルギーと食品を除くコア指数は、前年比で11月の+4.0%から+3.8%に低下する予想となっている(前月比は横ばいの+0.3%予想)。これまで発表された12月のインフレ期待(ミシガン大学調査やニューヨーク連銀調査)も低下していたことなどもあり、コア指数は各調査とも小幅ながら低下予想がやはり多い。
CPIの結果次第で、ドル円はどちらサイドにも素直に動意づくことが予想される。今年に入り米長期金利は、昨年12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)後に急速に債券買いが進んだ巻き戻しが入り、米10年債利回りは4%近辺での取引が続いている。しかし、コア指数が更に弱い結果となった場合は昨年12月後半に付けた3.78%台を意識し、ドルが売られるだろう。
一方で、予想を上振れる結果となった場合は、ドル円は欧州通貨やオセアニア通貨と比較してもドル買いが強まりやすい。今年に入って発表された本邦の経済指標は、9日発表の12月東京都区部のコアCPIは、予想通りとはいえ前年比と比較すると伸びが縮小。11月家計調査の消費支出は、前年比で予想を大幅に下回る-2.9%となった。10日に発表された11月毎月勤労統計は+0.2%となり予想の+1.5%に全く届かず、実質賃金は前年比-3.0%となり、20カ月連続のマイナスになった。更に、能登半島地震で甚大な被害が出ている中で、日銀がゼロ金利政策の解除を行えるような状況下ではない。予想比の上振れは、FRBが利下げに動けず、日銀が利上げにも動けずに、日米金利差の縮小が再び遠のくことになり、ドル円は買われやすいだろう。
なお、NY時間午後に入ると今年のFOMCの投票メンバーでもある、バーキン米リッチモンド連銀総裁が講演を行う。バーキン氏は3日には「追加利上げの可能性は依然として選択肢にある」と発言するなど、ややタカ派と捉えられる発言をしている。
・想定レンジ上限
ドル円は、5日に付けた年初来高値145.97円近辺。その上は日足一目均衡表・雲下限146.25円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値目途は、昨日10日安値144.32円、その下は200日移動平均線143.56円。
トレーダーズ・ウェブ