11日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、12月米消費者物価指数(CPI)の予想比上振れを受けて米長期金利上昇とともに146.41円まで買いが先行。しかしその後に米金利が低下すると、145.28円付近まで反落した。ユーロドルは1.0996ドルを上値に1.0930ドルまで反落するも、ドル売り戻しの流れに沿って1.09ドル後半まで持ち直した。
本日の東京外国為替市場のドル円は上値が重い展開が予想される。昨晩発表された米12月CPIのコア及びスーパーコアの伸び率鈍化を受けて、米10年債利回りが低下していることが重しとなりそうだ。
ドル円は、昨年11月13日の高値151.91円から12月28日の安値140.25円まで11.66円下落した後に反発。昨日は146.41円まで上昇して半値戻しの146.08円を上回り、一目均衡表の雲の中へ入った。しかしながら現状は145円台に戻しており、雲の下で推移している。すなわち、「半値戻しは全値戻し」を意識する展開を警戒しておきたい。もし上昇基調が続くのならば、上値目処は雲の上限146.81円や61.8%戻しの147.46円となる。
2023年12月の米CPIは前年比+3.4%(11月:+3.1%)まで加速するも、エネルギーと食品を除くコア指数は同比+3.9%(11月:+4.0%)となり、2年7カ月ぶりに4%を割り込んだ。また、パウエルFRB議長が物価見通しの判断に最も重要であると注視しているスーパーコア(※住居費を除くサービス業の価格動向)は、前年比+4.09%だった。住居費インフレは前年比+6.15%で11月の同比+6.51%から低下し、家賃インフレは前年比+6.47%で11月+6.87%から低下し、どちらも22年7月以来の低水準だった。
CMEグループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、3月19-20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.25%の利下げ確率は71%台へやや上昇、据え置き確率は24%台へ低下している。
なお、米財務省が発表した23年12月の財政収支は1294億ドルの赤字となり、前年同月比で444億ドル(約52%)増加した。歳出は3%増の5587億ドルで、12月としては過去最高を記録した。昨年10月には、年間の利払い額が1兆ドルを超えたことが話題になったが、12月の利払い費は1190億ドルだった。
米議会は、1月19日のつなぎ予算の期限に向けて24会計年度(23年10月─24年9月)の予算を審議しているが、ジョンソン米下院議長は「つなぎ予算案についてコミットしていない。期限に間に合うことを強く希望している」と述べており、予断を許さない状況が続いている。
10時30分に発表される12月中国消費者物価指数(CPI)の予想は前年比-0.4%、生産者物価指数(PPI)の予想は同比-2.6%と、デフレ懸念を強めることが見込まれている。中国人民銀行はデフレ阻止のために金融緩和策を打ち出しているものの、今のところ効果は限定的だ。世界生産シェアが高い中国によるデフレの輸出が、主要国のインフレ圧力を緩和させる可能性を高めている。
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