ドル円は昨日、12月米消費者物価指数(CPI)が予想を上回る結果になったことを受けて、一時昨年12月11日以来の高値となる146.41円まで急伸したが、米長期金利の上昇が失速したこともあり145円前半に押し戻された。本日これまでのドル円は144.85円まで下押し、145円を挟んでの上下に終始している。
12月米CPIは前年比+3.4%と前月や市場予想を上回り、先週末に発表された12月米雇用統計に続いて強い結果となった。米連邦準備理事会(FRB)が3月の連邦公開市場委員会(FOMC)で利下げを開始するとの期待を後退させる内容になったと言える。ただ、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、3月利下げの確率は依然として6割を超えるなと、市場の米早期利下げ観測は根強い。
本日は12月米卸売物価指数(PPI)の発表が予定されている。PPIは個人が購入する商品やサービスの原材料や中間財など売り手側の価格の変動を指数化したもので、CPIよりも景気を反映させるのが早いとも言われており、CPIほどではないが注目度は高い。11月PPIは前年比+0.9%と10月の+1.3%から伸びが鈍化したが、12月予想は+1.3%と再び伸びが加速すると見込まれている。ドル円は足もとで145円の大台の攻防となっているが、PPIも強い結果となれば市場の米早期利下げ観測に修正が入り、ドル円はレンジ下限を145円に切り上げ、再び上値を試す動きになる可能性はある。一方、弱い結果となれば145円を挟んで上下し、22-23日の日銀会合を控え新規の手がかり待ちとなりそうだ。
植田日銀総裁の発言も手がかりに一時日銀が1月会合でマイナス金利解除に動くとの警戒感が強まったが、ここに来て日銀の政策転換は早くても4月会合というのがメインシナリオとなっている。関係者によると、1月会合で2024年度のCPI(生鮮食品を除くコアCPI)と23年度のGDP見通しを下方修正する公算が大きい模様。
・想定レンジ上限
ドル円は11日の高値146.41円が上値めど。
・想定レンジ下限
ドル円は10日の安値144.32円が下値めど。
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