【来週の注目材料】英消費者物価指数の動向次第でポンドに大きな動きも
17日に12月の英国物価統計が発表されます。注目はインフレターゲットの対象でもある消費者物価指数(CPI)前年比です。2022年10月の前年比+11.1%をピークとして鈍化傾向にある英国の物価は、米国やユーロ圏に比べて鈍化程度が鈍く、前回11月時点で前年比+3.9%と、インフレターゲットの2%だけでなく、許容上限である3.0%にも届いていません。ただ、9月の+6.7%、10月の+4.6%、11月の+3.9%と鈍化率としてはかなり順調なところを見せていたこともあり、市場は英中銀の早期利下げを期待しています。今回の結果次第では期待がさらに強まる可能性があります。
ただ、市場予想は3.8%とかなり小幅な鈍化に留まる見込みです。米CPIなどと同様に前回まで見られたエネルギー価格の大幅な低下が抑えられるとの見通しが全体を押し上げそうです。
ターゲットまでまだかなり遠いという印象を与える予想前後の数字が出てくると、早期の利下げ期待が後退し、ポンド高となりそうです。
直近の短期金利市場では3月の英中銀金融政策会合(MPC)での利下げを25%程度、5月の利下げを80%程度見込む動きとなっています。ただ、前回12月のMPCの結果は6対3で、現状維持6名に対し、3名は利上げを主張していました。この投票結果だけを見ると、現状一人もいない利下げが多数派になるにはまだかかりそうに見えます。CPIの鈍化が限定的なものに留まると、3月の利下げ開始期待がさらに低下するとみられます。市場予想を上回り、前回並みもしくは前回よりも強めの伸びが示されると、予想の中央値である5月利下げの見通しまで低下する可能性があり、ポンドが急騰する可能性があることにも注意したいところです。
MINKABU PRESS 山岡和雅
みんかぶ(FX)