【これからの見通し】日米など金利差相場の円安、調整を交えながら神経質に
今年は円安相場でスタートしている。これに加えてドル高圧力もかかってきている状況。昨年後半は各主要中銀の利上げ停止観測から、さらに今年の早期利下げ開始観測へと局面が移行してきている。ただ、あくまでも観測であって、金融市場の先走った利下げ織り込みが指摘されるところとなっている。
ラガルドECB総裁は、夏の利下げ開始の可能性を示唆したが、これは3月などの早期利下げ観測をけん制する意図のものだ。基本的な姿勢は「データ次第」であり、明確なガイダンスを示さない方針だ。
英国では賃金やインフレ指標の予想との乖離を受けて、ポンド相場が神経質に振幅している。ただ、昨年末には今年の利下げ幅が150bp超織り込まれていたのに対して、足元では110bp台へと縮小してきている。
日米とともに日欧や日英などの金利差縮小観測に修正が入る形となっており、円安相場が演出されている面が強いようだ。
そのなかで、中東情勢の緊迫化が広範囲に拡大することが懸念されている。紅海をめぐる動き、イランとパキスタンの小競り合いなど。引き続きウクライナ戦争も継続するなかで、再び市場に不透明感も広がりつつある。先走った利下げ観測の是正もあって、株式市場が次第に不安定化してきているようだ。
ドル円相場は着実に150円の節目水準に再接近してきているようだ。ただ、昨年、一昨年と152円の壁が存在していた。短期的には円安相場に調整が入る局面も想定しておきたい。
この後の海外市場で発表される経済指標は、香港雇用統計(12月)、ユーロ圏経常収支(11月)、米住宅着工件数・住宅建築許可件数(12月)、米新規失業保険申請件数(01/07 – 01/13)、米フィラデルフィア連銀景況指数(1月)など。
発言イベント関連では、ジョルダン・スイス中銀総裁、ボスティック・アトランタ連銀総裁、ラガルドECB総裁などの講演やイベント参加が予定されている。米週間石油在庫統計が発表される。米10年インフレ連動債(TIPS)(180億ドル)の入札が実施される。
minkabu PRESS編集部 松木秀明
みんかぶ(FX)