15日の海外市場でドル円は150円を挟んで方向感なく推移した。NYの取引時間帯に入り、1月米小売売上高が予想を下回ったことが伝わると売りが優勢に。22時30分過ぎに一時149.57円と日通し安値を付けた。ただ、日米金融政策の方向性の違いに着目した買いは出やすく、すぐに反発。同時に発表された2月米NY連銀製造業景気指数などが強い結果だったこともあり、低下していた米長期金利が一転上昇すると150.20円台まで反発した。一方、引けにかけては150円を再び割り込むなど安定感がなかった。
本日の東京為替市場では、週末とあって様子見ムードが高まるなか、日経平均株価や時間外の米長期金利の動向を睨みながらの展開が想定される。
昨日のNY市場では1月米小売売上高は前月比0.8%減と昨年3月以来10カ月ぶりの大幅な落ち込みとなったが、冬の悪天候が影響した可能性があるほか、季節的なテクニカル要因があるとして一時的な現象に過ぎないとの見方が出ている。また、同時に発表された1月米輸入物価指数や前週分の新規失業保険申請件数などは強い結果となり、ドルは下落して反応した後にすぐに反発するなど、米指標に対して敏感に反応している。本日も1月米卸売物価指数(PPI)や2月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値)など重要指標が予定されるため、東京市場では様子見姿勢が強まる可能性はあるだろう。
ただ、ドル円に関しては下サイドでの買い意欲は依然として旺盛である。その背景としては、内田日銀副総裁が8日に緩和的な金融緩和を維持する姿勢を示して以降、日銀の金融政策修正への思惑が一段と低下していることが挙げられる。また、昨日には10-12月期実質国内総生産(GDP)速報値が予想外のマイナス成長となり、事実上のリセッション入りとなったため、「日銀が政策を早期に修正するのに一段と慎重にならざるを得ないのでは」との声が聞かれている。
なお、直近のシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」では、3月米連邦公開市場委員会(FOMC)でのFF金利誘導目標5.25-50%の据え置きは依然としてほぼ確実視されている。また、5月FOMCでのFF金利誘導目標の据え置き確率は61%前後と前日からほぼ変わっていない。
本日は8時50分に対外対内証券売買契約等の状況、13時30分に12月第三次産業活動指数が予定されているが、いずれも相場を動意づけるには材料に乏しく、基本的には株価や米金利、そして本邦実需勢のフローに左右される展開となるだろう。特に、昨日は輸出企業の売りが目立っていたとされており、本日も上値を抑える要因となるかどうかに注目したい。
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