29日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、1月米PCEコアデフレーターの前年比の伸び率鈍化を受け米10年債利回りが低下したことで149.21円まで下落後、月末のロンドンフィキシング(日本時間1時)のドル買いで150円台を回復した。ユーロドルは1.0856ドルから1.0796ドルまで下落した。ユーロ円はドル円の下落につれて161.69円まで下落後、162円台を回復した。
本日の東京外国為替市場のドル円は、日米金融政策への思惑から上値が重い展開が予想される。
3月19-20日の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、政策金利の据え置きが確実視されており、市場の関心は利下げ開始時期となっている。
3月18-19日の日銀金融政策決定会合では、金融政策の維持が見込まれているものの、金融政策が正常化される可能性がやや高まりつつある。
昨日発表された米連邦準備理事会(FRB)がインフレ指標として注視している1月のPCEデフレーターは、前年比+2.4%となり、昨年12月の同比+2.6%から伸び率が鈍化して、FRBのインフレ目標2%へ接近した。米1月消費者物価指数(CPI)が前年比+3.1%だった要因として、CPIの最大の構成要素であるオーナーの賃貸料に相当する部分(OER)における一戸建て住宅と集合住宅の加重手法の調整によるものだったことが判明している。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」での利下げ開始時期は、6月の米連邦公開市場委員会(FOMC)と見込まれている。
来週、パウエルFRB議長は下院(6日)と上院(7日)で議会証言を行うが、PCEデフレーターの数字でも、「物価上昇率が目標の2%へ持続的に向かっているとの確信(confidence)がより強まるまで、利下げは適切ではない」(1月FOMC声明)のか否かを見極めることになる。
植田日銀総裁や高田日銀審議委員の発言、日本の1月のコア消費者物価指数(CPI)を受けて、3月18-19日の日銀金融政策決定会合で金融政策正常化の可能性がやや高まりつつある。植田日銀総裁は、2月22日に、政策決定で重視する基調的な物価上昇率は今後高まり、2%目標実現の鍵を握る賃金・物価の好循環が強まっていくとの見通しを示し、「日本経済はデフレではなくインフレの状態にある」と述べた。
ハト派の高田日銀審議委員は、昨日、「2%物価目標実現がようやく見通せる状況になってきた。出口への対応も含め機動的かつ柔軟な対応に向けた検討も必要だ」とややタカ派的な見解を示した。
そして、日本の1月のコアCPIは前年比+2.0%となり、2月は物価の押し下げ要因となっていた政府の電気・ガス代負担軽減策の影響が一巡することから2%台後半まで上昇することが見込まれている。
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